原産
原産國:印度
高温多湿をこのみて、印度から東南亜細亜全域に分布する生薑科の多年草植物。土の中にできる根茎を香辛料、生薬にて利用。
印度より中国を経て琉球へと伝わり、琉球王朝の手厚い栽培管理の下に黒砂糖と共に専売制度におかれ、格別に貴重な産物として高価で取引されていた。
種類
薬用、食用に用いるウコンは、主に2種あり。春に花が咲く「春うこん」は、正しくは【薑黄】(キョウオウ)と呼ぶ生薬也。秋に花が咲く「秋うこん」のことを、広く【鬱金】(ウコン)と呼ぶ。その他に七十種類のウコンあり。
日本語名 |
学名 |
英語名 |
漢語名 |
春ウコン |
Curcuma aromatica Salisd |
Wild Turmeric |
薑黄 |
秋ウコン |
Curcuma longa L |
Turmeric |
鬱金 |
成分
生薬としての成分は多岐多様。その詳細は未だ不明なりとも、以下の成分がありと一般には伝えられる。
粉末100gあたりの分析値
成分 |
春うこん |
秋うこん |
水分 |
9.7g |
12.4g |
蛋白質 |
9.1g |
6.5g |
灰分 |
6.3g |
5.5g |
脂質 |
4.1g |
6.2g |
繊維 |
2.2g |
2.3g |
糖質 |
68.6g |
67.1g |
ナトリウム |
84.1mg |
114.6mg |
カリウム |
1525.5mg |
1297.5mg |
マグネシウム |
78.8mg |
180.9mg |
カルシウム |
34.6mg |
24.4mg |
リン |
824.5mg |
864.4mg |
鉄 |
21.1mg |
14.0mg |
クルクミン |
0.3g |
0.5g |
- クルクミン
肝機能を強化し、胆汁分泌を促進する利胆作用や利尿促進作用があるため、肝炎などの肝臓障害に有効。さらに抗炎症作用、殺菌抗菌作用により、胃炎や胃・十二指腸潰瘍にも有効だと言われる。
- ターメロン
胆汁の分泌を促進し、鮮魚寄生虫アニサキスの成長を抑制。さらに抗炎症作用や殺菌・抗菌作用により、胃腸病を改善。
- シオネール
胆汁分泌促進、利胆作用のほか、健胃、殺菌防腐など効用あり。
- α-クルクメン
体内コレステロールを溶かし血管壁を強化。抗ガン作用の強い活性作用もありと言われる。
- パラーメチルトル
胆道にある胆汁を排出する作用あり。
- フラボノイド(ビタミンP)
毛細血管の壁を緻密化する作用あり。血中蛋白質やビタミンC、尿中流出防止に。
- アズレン
炎症や潰瘍治癒作用あり。また胃液中のペプシンの作用を抑制する。
- カンファー
神経を興奮させる作用あり。
- リン
血液を中性に保持。脂肪や糖の代謝促進、滋養の貯蔵、生体機能の維持。さらに肝臓機能を正常化する作用あり。
- 鉄分
血を作る栄養素。血中内の多様な酸素を構成する。
- カルシウム
骨を作る栄養素。鉄の代謝を助け、筋肉の収縮を支配。自律神経の調整や心臓や血管の健康にも効果あり。
- カリウム
体内の水分均衡保持。また蛋白質代謝を促進する。
- マグネシウム
微量栄養素の代謝を促進。各種酵素の働きを補助。血中糖分を活性化させ、気の快復にも有益なり。
- 食物繊維
腸の潤滑化、活性化を促進し、悪玉細菌の増殖を防ぎ、便秘を解消する。
効能
ウコンの成分は四千から五千種類認められる。中でも、クルクミンとの一体処方により、相互に作用を高め体内吸収を促進すると言われる。その結果以下の効能有りと、古くから伝わる。
- 胆汁の分泌を促し、肝臓病を予防・改善する作用
- 胃液や唾液の分泌を促し、消化器の負担を軽減する作用
- 腫瘍の発生・悪性化・増殖を抑制する作用
- 心臓の働きを高める強心作用
- 体内の活性酸素を除去する作用
- 血液中のコレステロールや中性脂肪を減らし、高脂血症や動脈硬化を改善する作用
- 殺菌・抗菌作用・免疫機能を高める作用
食用
栄養成分の豊富なウコンは食用にも適す。匂いは土の薫り、味は生薑の如き辛味、苦みを少々感じる。沢庵等の漬物の黄金色の色づけ、琉球にては「うっちん茶」として飲用にも使用する。
医食同源の中国にてウコンは、食用の香辛料としても珍重される。また原産國・印度においてはcurryに欠かせぬ香辛料として日夜食される。
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